教育には、正しそうに見える言葉が多くあります。「答えを教える」「できるようにする」「失敗から学ばせる」「成長を支える」。どれも間違いではありません。しかし、正しさが疑われなくなったとき、教育はいつの間にか、教える側の都合や善意だけで進み始めます。

この連載の主な読者は、獣医療教育に携わる教職員と、動物病院で指導・育成を担う人たちです。教育の現場には、時間、人員、経験機会、安全管理、評価制度など、個人の工夫だけでは動かせない制約があります。本連載は、そうした現実を離れて教育者を批評するものではありません。日々教える責任を引き受けている人とともに、教育にまつわる当たり前を一つずつ立ち止まって考えるためのものです。

すぐに使える指導法を示すことよりも、その指導が何を目指し、誰のために行われているのかを問い直す。ただし、配慮を理由に問題を曖昧にはしない。教える側が持つ権限や影響力、善意がときに学ぶ人を追い詰める可能性にも目を向けます。現場を責めるためではなく、よりよい教育へ進むための全15回の連載です。