認定NPO法人アニマルライツセンター
認定NPO法人アニマルライツセンターは、日本の消費者を対象に、採卵鶏産業におけるオスひよこの殺処分と、その代替手段である「卵内雌雄鑑別技術」に関する意識調査を実施しました。
全国1,144人の有効回答を分析した結果、オスひよこの殺処分を知っていた人は19.9%にとどまる一方、説明後には73.9%がその卵を購入したいと回答しました。
認知度はまだ低いものの、多くの消費者が代替技術や商品の導入を支持していることが明らかになりました。
調査の背景
日本の採卵鶏産業では、卵を産まないオスひよこの多くが孵化後まもなく殺処分されています。一方、孵化前の卵の段階で性別を判別する「卵内雌雄鑑別技術」を利用することにより、この殺処分を回避することができます。
ドイツやフランスなどではオスひよこ殺処分の法規制や卵内雌雄鑑別技術の商業利用が進む一方、日本では確認されていません。そこで、日本の消費者がこの問題や代替技術をどのように受け止めているのかを把握するため、本調査を実施しました。
主な調査結果
調査のポイントをまとめた図。
以下では、それぞれの調査結果について詳しくご紹介します。
1.オスひよこの殺処分を知っていた人は19.9%
採卵鶏産業では、卵を産まないオスひよこの多くが殺処分されていることについて、「知っていた」と回答した人は19.9%、「知らなかった」と回答した人は80.1%でした。
この結果から、日常的に卵を購入・消費していても、その生産過程でオスひよこが殺処分されていることは、広く認識されていないことが分かりました。
2.オスひよこの殺処分を容認できると回答しなかった人は65.6%
Q. このようにメス鶏のみを育てるために、オスひよこが孵化直後に殺処分されることを容認できると思いますか?
「メス鶏のみを育てるために、オスひよこが孵化直後に殺処分されることを容認できるかどうか」と尋ねたところ、「全くそう思わない」「そう思わない」「ややそう思わない」と回答した人の合計は65.6%でした。
オスひよこの殺処分の認知度は低いものの、現状を知った人の多くは否定的な意見を持つことが分かりました。
3.卵内雌雄鑑別技術の活用に74.0%が肯定的
Q. オスひよこを孵化後に殺処分する代わりに、卵内雌雄鑑別技術を活用すべきだと思いますか?
「オスひよこを孵化後に殺処分する代わりに、卵内雌雄鑑別技術を活用すべきだと思うか」と尋ねたところ、「非常にそう思う」「そう思う」「ややそう思う」と回答した人の合計は74.0%でした。
技術自体の認知度は高くないものの、内容を説明した後には、多くの消費者が導入を支持することが分かりました。
4.73.9%が「殺処分を伴わない卵を購入したい」
Q. オスひよこを殺処分することなく生産された卵が、あなたの利用するスーパーで販売されていた場合、購入したいと思いますか?
オスひよこの殺処分を伴わずに生産された卵が、普段利用するスーパーで販売されていた場合、「購入したい」とする肯定的回答は合計73.9%でした。一定の潜在需要があることが見込まれることが分かりました。
Q. 卵内雌雄鑑別卵が普段利用しているスーパーでは販売されておらず、別のスーパーで販売されていた場合、そのスーパーを利用したいと思いますか?
また、普段利用するスーパーでは販売されておらず、別のスーパーで販売されていた場合に、その卵を購入するため別のスーパーを利用したいとする肯定的回答は60.8%でした。
この結果は、卵内雌雄鑑別技術の導入が、消費者の商品選択や小売店の選択に影響を与える可能性を示しています。
5.追加料金を支払う意思がある人は約7割
Q. 卵内雌雄鑑別技術によって雄ひよこが殺処分されない場合、10個入り卵1パックに対して、現在より最大でいくら上乗せして支払う意思がありますか?(現在購入している卵と同等の品質・サイズであると仮定してください。)
現在購入している卵と同等の品質・サイズで、卵内雌雄鑑別技術によってオスひよこが殺処分されない場合、10個入り卵1パックに対して追加で支払ってもよい金額を尋ねました。
その結果、10円以上の追加料金を支払う意思がある人は70.2%であり、最も多かった回答は「50円」でした。多くの人が追加負担を受け入れる意向があることが分かりました。
6.法規制に約7割が肯定的
Q. オスひよこの殺処分が法律で禁止されている国(フランス、ドイツ、イタリアなど)もあります。 日本でも法規制を進めるべきだと思いますか?
オスひよこの殺処分が法律で禁止されている国があることを示した上で、日本でも法規制を行うべきかを尋ねたところ、肯定的な回答は合計69.9%でした。
消費者による商品選択だけでなく、制度的な対応を求める意見も多いことが示されました。
アニマルライツセンターのコメント
今回の調査では、オスひよこの殺処分や卵内雌雄鑑別技術は、まだ多くの消費者に知られていない一方、問題と代替手段を知った後には、約7割の消費者がオスひよこの殺処分を伴わない卵の購入意向を示しました。
卵内雌雄鑑別技術は、欧州を中心にすでに実用化されています。
しかし日本では、現在、オスひよこの殺処分を伴わずに生産された卵の一般販売されておらず、消費者にはそのような卵を選択できる環境がほとんどありません。孵化場、鶏卵生産者、小売事業者、行政が連携し、技術導入や商品の流通が進み、消費者がオスひよこの殺処分を伴わない卵を選択できる環境が整うことを期待しています。
アニマルライツセンターは今後も、国内外の技術や制度に関する調査、関連企業・生産者との対話、消費者への情報提供を進め、オスひよこの殺処分を必要としない卵生産への移行を働きかけていきます。
調査概要
調査名:オスひよこ殺処分・卵内雌雄鑑別技術に関する消費者意識調査
調査方法:インターネットアンケート
調査対象:日本全国の一般消費者
調査期間:2026年7月1日~7月3日
回答者数:1,200人
有効回答数:1,144人
有効回答率:95.3%
分析方法:データ品質確認設問に正しく回答した回答者を有効回答として集計
調査実施主体:認定NPO法人アニマルライツセンター
調査協力・調査会社:株式会社マーケティングアプリケーションズ
備考:各数値は小数点以下の処理により、合計が100%にならない場合があります。
認定NPO法人アニマルライツセンターについて
アニマルライツセンターは、動物たちの現状を明らかにし、アニマルウェルフェア向上とアニマルライツの普及を行う日本の動物保護団体。主に、卵や肉などの食べ物として扱われる畜産動物、水産養殖に利用される水生動物、毛皮など衣類素材として扱われる動物を守るための活動や、エシカル消費の推進を行っています。
団体Webサイトはこちら:https://arcj.org/
本件に関するお問い合わせ:https://arcj.org/contact/
認定NPO法人アニマルライツセンター
お問い合わせページ:https://www.hopeforanimals.org/male-chicks/










